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アメリカの主要企業4~6月で最高益の見通し、ITと消費関連業界が好調

はじめに

アメリカの4月から6月期の企業決算が本格化します。主要企業のアナリスト予想を集計したところ、本業の利益は前年の同期よりも4割超増で過去最高を更新する見込みとなっています。IT(情報技術)大手の収益拡大が続くほかに、経済の再開で個人消費関連の回復が目立ちます。ただ年の後半は経済対策の効果が薄れるほかに、足元で新型コロナウイルスの感染者が再び増えていること・対策の遅れが懸念材料にもなりそうです。

アメリカの主要企業の収益

QUICK・ファクトセットのデータベースを基に、本業での稼ぐ力を示すEBITDA(利払い・税引き・償却前の利益)を集計しました。対象はSP500種の株価指数の組み入れ企業のうちで、比較的可能な437社で大手銀行は含まれません。

4月から6月期の利益総額は6030億ドル(およそ67兆円)と新型コロナウイルスの流行が拡大した前年の同期比で44%増える見込みとなっています。四半期で過去最高益だった21年1月期から3月期と比較しても5%増えます。

ITが増益をけん引

増益をけん引しているのはIT業です。最大の利益が見込まれるアップルはスマートフォン「IPhone」の販売や関連のサービスが好調とのことです。利益は225億ドルと前年の同期比で5割ほど伸びています。グーグルの持ち株会社アルファベットもインターネットの広告収入が伸びて、利益は2倍以上に増えることが見込まれています。2020年はコロナの打撃が小さかったので圧倒的なシェアや成長投資で収益の拡大を続けています。

また個人消費の関連でも回復が目立ちます。現金の給付などの政府の経済対策や株高で家計の懐が潤っています。アメリカの商務省の小売の売上高は4月から6月期は1兆8680億ドルと前年の同期比で32%ほど増加しました。コロナ前の19年4月から6月期に比べても21%増と記録的な消費となっています。

21年春ごろから全米で経済の再開が進みました。外食やレジャー関係などのサービス関連も客足が急回復しています。ウオルト・ディズニーやマクドナルドの利益も前年同期比で80%から90%ほど増える見通しとなっています。

反面コストも増加

一方で人材不足や材料費の上昇は収益面の逆風となってきています。食品業界大手のペプシコが7月13日に発表をした4月から6月期の決算では売上高が前年同期比で21%増えたものの、粗利率は1.8ポイントも低下しています。ヒュージョンストン最高財務責任者(CFO)は「物流経費や材料費の上昇によって利益が圧迫されている」と述べています。9月上旬の祝日「レイバーデー」明けの卸売価格を引き上げていくという考えを示しています。

小売最大手のウオルマートは第1四半期(2-4月期)に営業利益が前年同期比が32%増となったものの、年通しての伸び率は1ケタ台に留まるとの見通しを立てています。ダグ・マクミロン最高経営責任者(CEO)は「年後半は事業環境の不透明感が強まる」と指摘しています。「原材料高」「人材不足」「物流停滞」を3つの懸念に挙げています。

GMも減益の可能性

ゼネラル・モーターズ(GM)は世界的な半導体不足の影響が緩和傾向でピックアップトラックなどの販売が上向いているも、鉄鋼や樹脂部品などのコスト上昇は下半期に15億から20億ドルの減益要因になる見通しとなっています。

アナリストの分析予想でも7月から9月期以降も最高益の更新は続くだろうと見られています。ただ増益のペースは落ちるだろうという予測もあります。経済対策の効果は徐々に薄れていくほかに、人件費や材料と言ったコスト面での不透明感は根強くなっています。新型コロナウイルスデルタ株の脅威もアメリカでも出てきていて、経済再開の流れが足踏みするリスクも懸念材料になりそうです。

参考資料・出典
日本経済新聞:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN12CGR0S1A710C2000000/

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