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Researcher report

研究員レポート

倒産手続きと倒産法(4)破産法の仕組みと手続き(1)

破産法の仕組みと手続き(1)

破産手続きの特徴

破産法の目的は、経済的苦境に陥った債務者の財産を清算して、債権者に対して債権額に応じた平等な配当を実現することです。

  • さまざまな法人や個人が利用できる
    民事再生手続きと同様、どんな法人、個人でも利用できます
  • 債務者は管理処分権を失う
    債務者の財産の管理処分権は、破産管財人に帰属します。
  • 手続終了後、法人は消滅する
    債務者の清算が目的ですので、終了後、法人格は消滅します。
  • 税金や給料などは優先される
    税金、給料などは他の債権よりも優先して配当や弁済をすることになります。民事再生や会社更生とルールが異なりますので、注意が必要です。
  • 担保権者(別除権者)の権利行使は妨げられない
    民事再生と同様、質権や抵当権を持つ債権者は、担保権を実行できます。担保権を実行して回収できなかった部分は、予想不足額を届け出ることにより破産手続きにおいて配当に参加することができます。
  • 金銭による平等弁済
    総財産は金銭に換価され、債権額に応じて各債権者に平等に配当されるのが原則です。
  • 一般的に配当は少ない
    破産手続きの場合は、多額の負債を抱えているか、事業を停止している場合がほとんどであり、資産価値は劣化し、債権回収は困難となります。従い配当率は数%に留まる場合が多いといえます。

破産手続きの流れ

破産手続きの申立てができるのは、債務者(自己破産)、債権者、債務者の取締役(準自己破産)などです。自己破産の場合、取締役設置会社であれば取締役会決議を経て代表取締役が破産申し立てします。準自己破産の場合、取締役会決議は不要です。

破産手続きの大まかな流れは次のとおりです。

図1.破産手続きの流れ

破産申し立て

破産開始手続原因は「支払不能」と「債務超過」です。合名会社や合資会社については、債務超過は破産開始手続き原因ではありません。法人が破産する場合は基本的に管財事件になります。(破産管財人が選任される場合を管財事件と言います)

法人の破産申立ての場合には、債権者に知られることなく迅速に申立てを行うのが基本になります。

破産を申し立てる際に必要となる費用には、弁護士費用、予納金、申立手数料(印紙代)などがあります。

破産手続き開始決定

破産の申立てがなされると、申立棄却事由がない限り、裁判所は破産手続開始決定をします。裁判所は同時に破産管財人を選任しますが、破産財団に属している財産を管理し、破産財団に属している財産を売却する権限を持っているのは破産管財人のみです。

破産者が破産手続開始時に保有している財産は、原則として破産財団を構成します。破産財団から債権者に対して配当がなされます。

破産管財人が選任されてからの手続きは次の通りです。

  1. 債権届出期間の決定
    裁判所は破産手続開始決定の日から2週間以上4カ月以内の日を債権届出期間として指定します。
  2. 債権者集会の期日指定
    通常、裁判所は破産手続開始決定と同時に第1回債権者集会の期日を指定します。
  3. 債権調査期間の指定
    債権届出期間の最終日との間に1週間以上2か月以内の間を置く必要があります。
  4. 破産財団の換価・配当
    破産管財人は裁判所の監督の下で、破産財団に含まれる財産を現金にして配当に備えます。

以上

「V. 破産のしくみと手続き(2)」へ続く

参照文献:「会社の倒産 しくみと続き」(森公任・森元みのり監修)三修社