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研究員レポート

オンラインによる2社間保証ファクタリング(売掛金保証)について

はじめに

ファクタリングは利用目的により、資金調達を目的とせず、売掛金の不払いリスクを保証してもらう「保証ファクタリング」と、資金調達を目的とした「買取ファクタリング」があります。また、ファクタリングは取引当事者により、売掛先に通知せず、納入業者とファクタリング会社の2者間で取引をする「2社間ファクタリング」と売掛先に通知し、ファクタリング取引の同意を得た上で、納入業者、売掛先、ファクタリング会社の3社で取引する「3社間ファクタリング」があります。「2者間ファクタリング」も「3社間ファクタリング」も「買取ファクタリング」もしくは買取を伴わない「保証ファクタリング」を目的として利用できます。いずれにせよ「2者間ファクタリング」は売掛先の承諾が不要で、ファクタリングが利用しやすく,手続きも簡素でサービスを早く受けられることがメリットとして挙げられます。その為、「2者間ファクタリング」は幅広く利用されています。最近この「2者間ファクタリング」が、基本的に書類のやり取りをせず、オンラインのみで完結できるオンラインによる2者間取引(売掛金保証)が注目を集めるようになってきており、今回はこのオンラインによる「2者間保証ファクタリング」を見ていきたいと思います。

ファクタリングの取引方法

具体的に、どのような手順でファクタリング取引がなされるか見ていくと、まずファクタリングの申し込みですが、書類のやり取りは行わないので、申込者はファクタリング会社が依頼する会社情報をオンラインで入力します。会社名、住所、代表者名などです。ファクタリング会社によっては会社の登記簿謄本のコピー、代表者のパスポート、免許証などの本人確認書類のコピーなどを要求するところもあります。

また、保証を希望する売掛先の情報としては、保証希望金額、決済条件、過去1年間の売掛先の支払い状況の書類などです。オンラインに登録することにより、ファクタリング会社が提示しているファクタリング契約、又は会員登録という形で会員規約に同意したことになり、契約が成立します。審査は迅速で2-3日以内で回答を得られますが、売掛先が多い場合は少し時間が掛かりますが、約1-2週間以内で完結致します。当然売掛先の信用リスクにより希望保証額が部分的にしか出ないケースや、ゼロ回答の売掛先もあり得ます。申込者はその保証額を見て、最終的にファクタリング取引をするかどうかを判断することになります。また、ファクタリング手数料は基本的に口座引き落としか、クレジット・カードで決済されますので、それらの情報を提供する必要があります。

2社間保証ファクタリングの取引条件

2社間保証ファクタリング取引の条件は一般のファクタリング取引と大きな違いはありませんが、まず売上規模や業種による引き受け制限は原則的にありません。既に支払遅延を起こしている先や、売掛債権以外の債権は対象外です。法人であれば可能で、個人は対象外です。ファクタリング会社によっては個人事業主も対象にしていますが、開業届の提出が必要です。海外取引先は対象外です。売買契約が結ばれていない取引も基本的に対象となりますが、発注書、納品書など取引が確認できる書類の提出が必要です。

決済期間は基本的に180日以内です。注意しなければいけないのは手形をジャンプした場合、決済条件変更を申し出、ファクタリング会社の承諾を得ないと保証の対象外となってしまいます。決済期間が180日を越えれば対象外です。

次にファクタリング会社への登録が完了すれば,申し込みから最短2-3日で取引が開始できますが、取引はファクタリング会社が指定した取引内容を入力さえすればよく、極めて簡単です。尚、保証限度額は売掛先の信用リスクが高まった場合、ファクタリング会社より減額、またはキャンセルされる可能性があります。その場合は基本的に通知より1ヶ月後に適用されます。

ファクタリングの保証対象

さて、ファクタリングの保証対象は原則取引先の破産手続き、再生手続き、会社更生法手続き開始、特別清算開始の申し立て、手形交換所の取引停止処分などです。売掛金保証会社で1か月以上の不払いも保証の対象とするところが出てきました。保証対象外となる債権はトラブル・クレームなどの紛争債権、取引先の登録情報に事実と相違があったなど告知義務違反、申込時に既に支払遅延を起こしていた売掛債権などです。

保証金額は実際に損失を被った金額ですが、保証限度額を超えていた場合は保証限度額が上限となります。具体的には100万円の保証限度額で120万円が焦げ付いた場合、保証を受けられるのは100万円です。売掛金保証会社では毎月支払った手数料に応じて保証限度額を定額制にしたプランを設けているところもあります。

貸倒損失が出た時の保証金の支払いは、ファクタリング会社が要求した書類を提出してから10日から1カ月以内に支払われます。売掛先の1年以内の支払い状況に相違があった場合、決済期間の相違など告知した事項と相違がある告知義務違反の場合は、保証が受けられませんので注意してください。

オンラインのファクタリング保証料

オンラインによるファクタリング保証料は基本的に「3社間ファクタリング」より高くなりますが、2-10%とファクタリング会社により異なりますので、確認する必要があると思います。売掛金保証会社の中には契約期間中しか保証しない、毎月支払った手数料に応じて保証限度額を定額制にしたプランなどを提供しているところもあります。

以上見てきたようにオンラインによる保証ファクタリング(売掛金保証)は手続きが簡単なので、貸倒が懸念される取引先を一時的にピンポイントで売掛債権を保全するには適した商品と言えると思います。また、他の保証会社で断られてしまった売掛先を対象に利用するのも、選択肢の一つでしょう。尚、オンラインによる保証ファクタリングは現状大手ファクタリング会社は取り扱っておらず、中小ファクタりング会社が主体です。これらのファクタリング会社は地方銀行。信用金庫などと提携しサービスを提供しています。

以上