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ロシアへの制裁によるリスク管理について

1.ロシアへの制裁概要

北米、ヨーロッパ、アジアの政府はロシアにさまざまな制裁と輸出管理制限を課すことで、ロシアのウクライナ侵攻に対応してきました。具体的には国際金融市場および銀行ネットワークへのアクセスの制限、特に技術を含む商品およびサービスの輸出に対する制限、特定の種類の事業活動に対するより広範な制限などです。

これらの貿易制裁措置と戦略はコンプライアンスとリスク管理の専門家にはなじみがありますが、これらの制裁を正確に解釈して対応することは容易でありませんでした。これは、ロシアがG20のメンバーで、農産物、エネルギー、鉱物商品の世界貿易において中心的な役割を果たしており、幅広い制裁の対象となっている分野で他国を凌駕する規模を備えていたためです。さらに2月下旬から3月上旬に発表され、実施された経済制裁のペースが速かったためです。

このようなに戦争継続中に重要な決定を下さないといけない複雑な状況下、企業は株主、同業者、クライアントから、ロシアからの撤退やロシア企業との関係、または侵略に対する立場を示すよう圧力を受けました。

このような背景の中、ロシアに制裁を課す政府は、企業への影響を和らげると同時に、企業に対策を実施し、企業経済のコストを吸収することができるよう努力しました。確かに、今回の制裁体制の最も特徴的な側面の一つは、政府が制裁措置を課したことが、極めて迅速であったことで、多くの人々を驚かせました。

それにもかかわらず、政府はロシアのリスクにさらされている企業にとって、この制裁措置は経済的に苦痛であり、実際的かつロジスティック的に対応が難しいことを公に認めています。

2.企業のロシア制裁対応への推奨事項

企業によって範囲はかなり異なりますが、ほとんどの企業は、進展する制裁措置に対して調整する必要があるロシアへのエクスポージャーを持っています。このエクスポージャーは、ロシアでの直接的な事業において、第三国に拠点を置くサプライヤーやディストリビューターによる間接的なエクスポージャーにおいて、または海外のロシアの機関との関係を通じて発生する可能性があります。

以下は、制裁への対応が正しくなされているかを確認するためのいくつかの一般的な考慮事項です。

  1. まず、ロシア・ウクライナ侵攻の進展と、制裁に関連する制裁決定を正確に把握できているか確認します。制裁に関連する制裁決定は政府機関広報より確認できます。
  2. 次に、企業がロシアおよびロシアの企業とどの程度関係しているかを評価します。この評価は投資家や株主、銀行、直接および間接のクライアント、サプライヤー、代理店、流通業者などのより広範な契約相手、および他のサプライヤーや国などを通じて直接的または間接的に調達されたロシア起源の商品およびサービス通じて行われる可能性があります。
  3. 上記のロシアとの直接および間接の関係を確認できたら、次のステップは、最終的な所有権、権利関係を明確に理解することです。特に代理店、流通業者などの場合、これはロシアの制裁対象企業へのより広範なエクスポージャーと相互関連の評価にまで及ぶ可能性があります。これにより、直接的および間接的な制裁のリスクエクスポージャーを評価できます。
  4. 更に、デューデリジェンスツールなどを利用して、ロシアとの関係が疑われる第三者をスクリーニングし、それらが制裁措置のもとで指定されているかどうかを確認します。制裁対象の事業体および個人のリストを参照して、エクスポージャーの制措置が配慮されているかを確認する必要があります。企業は制裁措置を講じなければいけない時期を正確に把握できるよう、危険信号などが適切に評価および対処できるような社内プロセスを用意することが重要です。
  5. 外部との関わりを検討します。銀行、保険会社、企業共同体、主要サプライヤーなど、ビジネスに関わる組織を調べて、ロシアとのビジネス活動を継続することについての外部機関の見方と、彼らのエクスポージャーを終了または削減するためのトリガーポイントを理解しなければなりません。これは、ロシアに対する制裁、国内での事業継続に関する評判を考慮し、企業が市場から撤退することによって引き起こされる実際的な問題がトリガーポイントの要因であると思われます。また、制裁を課して施行する関連政府機関と連携し、正確な情報に基づいた決定を下せるように、直接または弁護士を通じて問題を把握する必要があります。

3.ロシア制裁、次のステップ

ロシアに対する制裁措置は今後強化される可能性があります。上記の推奨事項は制限のレベルに関係なく有効ですが、制裁が今後どのように強化されるかを見ていくことは重要です。

今後の動きの1つとしては、一部の国はロシアに対して制裁を正式に採用する、一部の国は制裁を政策として正式に採用せずに実際に実施することです。ロシアと貿易を行ういくつかの比較的大きなアジアおよび中東の一部の国は、制裁措置の拡大と既存の制裁措置の有効性を示すと思われます。これらの国々は、紛争が続く中、制裁措置を採用または遵守するという外交圧力に直面し続けますが、これらの国々がこれらの措置を採用する意欲は、自国の政治的および経済的事情によって異なります。これらの国に本社を置く一部の組織は、世界の他の場所での活動に影響を与える法的および評判のリスクに関する懸念を考慮し、とにかく他国政府の制裁を遵守しようとします。

2つ目は、現在制裁を課している政府は、制裁をより広範なセクターレベルの制限に拡大し、いわゆる「二次制裁」の形で他の国にこれらの措置を課そうとする可能性があるということです。これらは、制裁の経済的および政治的効果を最大化するために、第三国の企業および個人に適用される措置です。

ロシアの石油とガスの輸出、およびその国内の開発と生産能力に対する的を絞った制裁措置を検討するために制裁を課す国々の間で政治的意志が高まっています。ロシアのエネルギー部門に対する制裁における最大の経済的および政治的障害は、エネルギー安全保障における欧州連合のロシアの役割にかかわる欧州連合間の対立です。拡大する制裁措置の政府間のコンセンサスを維持する必要性を考えると、米国または他の政府が一方的にEUの輸入能力を複雑にする二次制裁を課すことの可能性は高くありません。 EUの同意なしに二次制裁を課すことは無理と思われます。今後の制裁措置の行方はロシア・ウクライナ紛争の進展によって大きく変わる可能性がありますので、引き続き注視していく必要があるでしょう。

出典:Risk Management Magazine /Henry Smith

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