そろそろ米長期金利上限へ
2年国債金利と10年国債金利の差で見た逆イールド(通常期間が長い債券のほうが利回りは高いが、今は2年債の利回りが高い状態)は、7月時点では1%まで広がっていた。
これは1982年以降の逆イールドのときと比べて2倍以上の大きな金利差であった(10月30日現在では0.23%の逆イールドに縮小してきた)。
景気失速への懸念が和らぎ、2024年の利下げが遠のく中で、長期金利が上昇し歴史的な逆イールドが縮小、解消へと向かうのは「正常化」のプロセスとも言える。おそらく債券市場が織り込む今後1年の米景気後退確率が低下したということだろう。
この長期金利の上昇が日米株価の調整を招き、同時に円が対ドルで150円近辺まで売られたことの要因でもある。
米経済動向に目を転じると、9月分の米国の雇用、小売販売などの経済指標の上振れをうけて、2023年のGDP成長率に関して見通しを引き上げてきている。ただ、市場は現在では、米経済の堅調な成長は想定よりも長引くと判断を変えてきている。
ただ、米国経済はインフレの再加速をもたらすほど、高成長が持続する可能性は高くないと考えている。
例えば、「中小企業が借り入れを容易にできるかどうか」という調査では、3月の銀行破綻以降も総じて安定していた。
だが、9月分の調査でやや悪化する兆候がみられているとのこと。これまでの長期金利上昇の、景気抑制的な効果が強まりつつあることを示すシグナルといえる。企業の信用状況の変化は、急速な経済失速というよりも、成長を徐々に抑制し、2024年にかけて、経済成長やインフレは、より安定して推移しつつあるのではないだろうか。
そうであれば米長期金利5%はそろそろ上限とみており、同時に日米金利差で動いていた円安もそろそろ止まるのではないだろうか。
円安が止まったと確認できれば必ず、海外投資家は日本株に再び関心を示してくることは間違いない。