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新型コロナウイルスと日本・世界経済回復のゆくえ

はじめに

新型コロナウイルス感染拡大は収まることなく、3度目の緊急事態宣言が2021年6月20日まで延長されることが決定されましたが、今後日本・世界経済の回復はどのようになっていくのか,見てみたいと思います。

日本の経済成長の推移

まず、昨年度2020年(2020/4/1-2021/3/31)の日本経済成長の推移を四半期ごとに振り返ってみたいと思います。

1度目の緊急事態宣言が出た4-6月までは、年換算で前期比マイナス28.6%と歴史的な急落となりました。その後感染状況が落ち着き、Go Toキャンペーンなどもあり、7-9月期は年換算でプラス22.9%、10-12月は同じくプラス11.6%と回復が続きました。直近の2021年1-3月GDPを詳しく見てみます。年初に2回目となる緊急事態宣言が出され、個人消費を中心に落ち込みました。設備投資はマイナス4.1%で、これは10-12月に大幅に増加(プラス4.3%)した反動や、民間部門の建設投資が振るわなかったことなどが考えられます。政府消費はマイナス4.1%とGo Toキャンペーンの支出がなくなったことが主因です。公共投資も振るわず、実質GDPを押し下げました。輸出は世界的な半導体需要の高まりや設備投資の回復により3四半期連続で増加し、プラス2.3%となりました。但し、輸入も前期比プラス4.0%となり、純輸出(外需)の寄与度はマイナス0.2%と実質GDPを押し下げました。住宅投資や民間在庫変動も増加に寄与したものの、最終的に1-3月期の実質GDP成長率はマイナス5.1%と市場予測を下回りました。この結果、2020年度のGDP成長率は,リーマンショックを越えるマイナス4.6%と最大の下落となったのです。

今後の経済成長の予測

それでは今後の経済成長率はどうなるでしょうか。大和総研のレポートを見てみたいと思います。

2021年6月20日まで延長された3度目の緊急事態宣言は、酒類の提供が全面的に禁止され、外食、旅行、レジャーなどのサービスは大幅に落ち込み、衣料品、化粧品などへの支出も減少するとみられますが、大型商業施設への要請が、休業から時短営業に変更されたことから影響は小さくなると見てます。9都道府県への宣言による実質GDPの減少額は、延長後の要請内容で1カ月当たり0.8兆円程度、対象地域が全国に広がれば同1.7兆円に膨らむと見ています。しかし、米国や中国を中心に海外経済が力強く回復する中、輸出が堅調に推移し、外需が実質GDPを押し上げると見ています。現状推移すれば、2021年4-6月の実質GDPはマイナス0.8%と2四半期連続のマイナス成長を見込んでいます。

7-9月期の実質GDPは、経済活動の再開もあって前期比年率プラス5.7%と高めのプラス成長を見込んでいます。さらに10-12月期以降は経済活動の再開が落ち着き、一定の感染症対策が継続される中で緩やかなプラス成長を見込んでいます。

ワクチン接種が順調に進むという前提がついての数値

以上の見込みはワクチン接種の効果が徐々に高まることで、夏場には新規感染者数が減少傾向に転じる見通しの上、人出が低水準を維持し続けることが前提となっています。

諸外国に大きく遅れているワクチンの接種ベースを加速させるとともに、医療提供体制の再構築や、水際対策の徹底が必要と思われます。

世界経済の予測

次に世界経済のゆくえについて、三菱総合研究所の見通しを見てみたいと思います。

まず、米国ですが、21年夏には集団免疫を達成する見込みであり、経済活動の正常化とともに、コロナ危機下で積み上がった貯蓄の一部が消費に回ることが期待され、21年の実質GDP成長率は前年比プラス7%近い高成長を予測しています。22年は経済の自律的な回復力は高まるものの、財政・金融政策による経済下支え効果の段階的縮小が予想されることから、同プラス3%程度への成長鈍化を見込んでます。

欧州経済の落ち込みは他の先進国と比べても大きく、若年層を中心とする失業の長期化などにより、雇用・所得環境の回復が遅れると見ています。欧州5カ国の実質GDP成長率は21年前年の反動もあり。前年比プラス4%台半ばの伸びを見込んでいます。22年はワクチン普及などから経済活動の正常化が進み、同プラス3%を予想しています。コロナ危機前の水準を回復するのは22年後半と見込んでいます。

中国経済については中国からの財輸出の伸びが徐々に鈍化していくものと見ており、米中対立よる戦略物資を中心とするサプライチェーン見直しも逆風となると思われます。実質GDP成長率は、21年は前年の反動もあり、前年比プラス8%台半ばの伸び、22年は潜在成長率見合いでの同プラス5%台半ばと見込まれます。

世界経済全体では実質GDP成長率は21年が前年比プラス5.6%、22年が同プラス3.5%と見込まれ、実質GDP水準がコロナ危機前(2019年)を回復するのは、21年半ばと予想しています。

まとめ

以上、研究所のレポートを見ていきますと、ワクチン接種の進捗度合いと経済成長は相関関係にあるように見えますので、日本経済復活の為には一刻も早いワクチン接種拡大が必要と思われます。

以上

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