2022年3月全国企業倒産件数
2022年3月の全国企業倒産593件
3月では32年ぶりの500件台、「新型コロナ」関連倒産は初の200件超
2022年3月度の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)は、件数が593件(前年同月比6.4%減)、負債総額は1,696億7,300万円(同19.9%増)だった。
件数は2021年12月の504件以来、3カ月ぶりに500件台に乗せた。3月度としては1990年の502件以来、32年ぶりに500件台の低水準にとどまった。
負債総額は2カ月連続で前年同月を上回った。負債100億円以上は、電力小売の(株)ホープエナジー(福岡、破産)の負債300億円、大手鶏卵販売のイセ食品(株)(東京、会社更生法)の同278億4,700万円、同社関連で飼料販売のイセ(株)(富山、会社更生法)の同171億円の3件発生した(前年同月2件)。また、負債100億円以上を含む同10億円以上が21件(同14件)、同5億円以上10億円未満が18件(同16件)と、中堅クラスが押し上げた。ただ、負債1億円未満は445件(同482件)と全体の75.0%を占め、小・零細規模の倒産を中心とした推移に変化はない。
3月の「新型コロナウイルス」関連倒産は、205件(前年同月比34.8%増、構成比34.5%)で、集計を開始した2020年2月以降で初めて200件を超えた。累計は2,939件。
- 「人手不足」関連倒産のうち、「後継者難」が50件(前年同月43件)
- 形態別件数:破産が522件。法的倒産の構成比が95.7%
- 都道府県別件数:前年同月を上回ったのが24道府県、減少16都県、同数7府県
- 負債別件数:負債1億円未満の構成比が75.0%、100億円以上が3カ月ぶりに発生
- 業種別件数:パチンコホール、機械器具卸売業などが増加
- 従業員数別件数:10人未満の構成比が86.5%、300人以上は15カ月連続でゼロ
- 中小企業倒産件数(中小企業基本法に基づく)は593件で、8カ月連続で100.0%
産業別 10産業のうち、5産業で前年同月を上回る
2022年3月の産業別件数は、最多がサービス業他の184件(前年同月比14.8%減)で、2カ月ぶりに前年同月を下回った。ただ、1月141件→2月159件→3月184件と、増加傾向で推移している。
このほか、小売業61件(同22.7%減)は10カ月連続、不動産業16件(同54.2%減)は2カ月連続、製造業60件(同31.8%減)は3カ月ぶりに、それぞれ前年同月を下回った。金融・保険業は2カ月連続で発生がなかった(前年同月1件)。
製造業、小売業、不動産業は、3月度としては1993年以降の30年間で最少。
一方、建設業124件(前年同月比31.9%増)は、4カ月連続で前年同月を上回り、3カ月ぶりに100件台に乗せた。また、農・林・漁・鉱業7件(前年同月6件)、情報通信業24件(前年同月比60.0%増)は2カ月連続、卸売業91件(同15.1%増)、運輸業26件(同23.8%増)は2カ月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。
地区別 倒産件数、9地区のうち、4地区で前年同月を上回る
2022年3月の地区別件数は、9地区のうち、4地区で前年同月を上回った。
東北43件(前年同月比48.2%増)は、3カ月連続で前年同月を上回った。このほか、北陸14件(同27.2%増)、九州60件(同25.0%増)は2カ月連続、北海道27件(同22.7%増)は2カ月ぶりに、それぞれ前年同月を上回った。
一方、中部67件(同16.2%減)、中国27件(同3.5%減)は3カ月連続で、それぞれ前年同月を下回った。また、関東182件(同23.2%減)は2カ月連続、近畿163件(同1.2%減)、四国10件(同28.5%減)は2カ月ぶりに、それぞれ減少した。
※地区の範囲は以下に定義している。
東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島)
関東(茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨)
中部(長野、岐阜、静岡、愛知、三重)
北陸(富山、石川、福井)
近畿(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)
中国(広島、岡山、山口、鳥取、島根)
四国(香川、徳島、愛媛、高知)九州(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)
当月の主な倒産
[負債額上位5社]
- (株)ホープエナジー/福岡県/電力小売/300億円/破産
- イセ食品(株)/東京都/鶏卵販売ほか/278億4,700万円/会社更生法
- イセ(株)/富山県/飼料販売/171億円/会社更生法
- (株)丸の内管財/愛知県/ベンディングサービス/81億9,000万円/特別清算
- アンドモワ(株)/東京都/居酒屋経営ほか/80億円/破産
出典:東京商工リサーチ