米長期金利、一時3.5%超まで上昇 11年ぶり高水準
【ニューヨーク=斉藤雄太】19日の米債券市場で長期金利の指標になる10年物国債利回りが一時3.51%台まで上昇(価格は下落)し、2011年4月以来約11年半ぶりの高水準をつけた。高インフレ継続を踏まえ、米連邦準備理事会(FRB)が20~21日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で大幅利上げを続ける姿勢を示すとの見方が強まるなか、米国債売りが一段と進んだ。
米長期金利は先週末時点で3.45%程度だった。直近の底だった8月初旬から上昇基調をたどり、この間に1%ほど高くなった。19日は政策金利の動きに敏感な2年債利回りも一時3.9%台後半まで上昇し、約15年ぶりの高水準を更新した。
先週発表の8月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回ったことを受け、市場ではFRBが今週のFOMCで3会合連続となる0.75%の大幅利上げに動くとの見方が強まっている。一部の市場参加者は1%への利上げ幅拡大を見込む。
米債券運用大手ピムコの北米担当エコノミスト、ティファニー・ワイルディング氏は「今回だけでなく今後数回の会合で0.75%の利上げを続ける可能性もある」と話す。インフレ抑制に時間がかかるとみたFRBが金融環境の引き締めを急ぐとの見方が浸透し、米国債利回りに上昇圧力をかけている。
一般的に景気の先行き不安が強まる局面では「安全資産」の米国債に買いも入りやすくなる。だが現在はインフレの長期化で債券の利子収入が目減りすることを警戒し、押し目買いの動きは限られている。バンク・オブ・アメリカで金利分析を担当するマーク・カバナ氏は「高インフレと戦う際に(金利を上げすぎて景気を過度に冷やす)オーバーシュートを避けることは非常に難しい」と指摘。年限の短い米国債は買いにくいとみる。
出典:日本経済新聞