米債務協議、迫る期限 デフォルトなら混乱不可避
米連邦政府の借入限度額である「債務上限」の引き上げ協議が難航する中、米国のデフォルト(債務不履行)が刻一刻と迫っている。
財政資金は早ければ来月1日にも枯渇する見通しだが、米政権と野党共和党の対立に落としどころは見えない。米国が史上初のデフォルトに陥れば、金融市場が混乱し、世界経済に深刻な打撃を及ぼすことは避けられない。
7~9月期に米国の株価は45%急落し、800万人を超える雇用が失われ、実質GDP(国内総生産)も年率換算で前期比6.1%落ち込む―。米大統領経済諮問委員会(CEA)は3日、デフォルトが長期化した場合の試算を示した。
米デフォルトは「歴史上、前例がない」(CEA)事態だ。先行きを見通すのは難しいが、金利高騰や支出削減、米国の信用格付けの引き下げなどが予想され、「2008年のリーマン・ショック時と同等の経済的な落ち込み」(米エコノミスト)に見舞われる公算が大きい。
ただでさえ世界経済は、米欧の利上げや金融不安、途上国の過剰債務問題、高インフレなど逆風下にある。国際通貨基金(IMF)のコザック報道官は11日の定例会見で「米国の債務問題に関する協議は、世界経済が非常に困難な局面を迎える中で行われている」と危機感をあらわにした。
議会で資金繰り継続に必要な法案が可決されなければ、デフォルトを防ぐのは難しい。国債の利払い原資の優先確保や、財務省が1兆ドル(約136兆円)コインを発行し、資金を調達するといったさまざまな案が取り沙汰されているが、「妙案はない」(イエレン財務長官)のが現状だ。
13日まで新潟市で開催された先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議でも、米債務問題を警戒する声が相次いだ。ドイツのリントナー財務相は「世界経済への影響の点からも、大人の決断を望む」と述べ、米議会に速やかな行動を求めた。