企業の債務469兆円 3月末、2000年以来の高水準
日銀が27日発表した1~3月期の資金循環統計(速報)によると、3月末時点で民間企業(金融機関除く)の借入残高は、簿価ベースで前年同期比1.6%増の469兆円となった。増加は2四半期連続で、不良債権問題が深刻化していた2000年3月(480兆円)以来の高水準となる。新型コロナウイルス禍を契機に20年に企業債務が膨張し、足元でも高止まりしている。
日銀が実施している新型コロナ対応の融資を手がける金融機関向けの特別オペ(コロナオペ)は3月に大企業向けが終了し、9月に残りも終了する予定だ。政府系金融機関による実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)も9月末に終了予定で、今後金利の支払いも生じてくる。
企業が持つ金融資産は前年同期比4.0%増の1253兆円だった。現預金が1.5%増の323兆円、海外への直接投資が10.9%増の172兆円と増加した。
家計の金融資産は同2.4%増加し2005兆円だった。21年12月末(2015兆円)からは減少したものの2000兆円台の高水準が続き、年度末では過去最高を記録した。コロナ禍で貯蓄が増え、現預金が2.9%増の1088兆円と最も多かった。
家計資産で次に多かったのが保険・年金・定型保証の540兆円で、円安の進行により外貨建て保険が恩恵を受けた。3月末時点の円相場は1ドル=122円程度と、前年同月の110円台より約12円の円安・ドル高水準で推移していた。一方、株式の保有残高は前年同期に比べて0.6%減の204兆円だった。
市場全体に占める国債の保有内訳は、日銀が43.3%の531兆円と最も高かった。銀行など預金取扱機関の保有比率は15.0%、海外は13.6%だった。
出典:日本経済新聞