7月の米製造業景況感、2カ月連続低下 受注や生産減速
【ニューヨーク=大島有美子】米サプライマネジメント協会(ISM)が1日発表した7月の米製造業景況感指数は52.8と、前月から0.2ポイント低下した。下げ幅は小さかったが、低下は2カ月連続だ。2020年6月以来、2年1カ月ぶりの低水準となった。新規受注が低調だったほか、生産も減速して指数を押し下げた。製造業の活動が停滞してきた様子を示唆している。
経済活動の拡大と縮小の境目となる50は上回った。ただ項目別に見ると「新規受注」は48と前月から1.2ポイント低下し、「生産」も53.5と1.4ポイント下がった。一方で「雇用」は49.9と前月を2.6ポイント上回った。報告書では「7月の活動はやや鈍化したものの、米製造業は拡大を続けている」と総括した。雇用については「引き続き好調で、採用凍結や人員削減の兆候はほとんど見られない」と指摘した。
「物価」を示す指数は60となり、6月の78.5から大きく低下した。20年8月以来の低水準となった。英キャピタル・エコノミクスのアンドリュー・ハンター氏は「モノのインフレが今後大きく鈍化することを示唆している」と指摘した。
ISM指数は月間の米主要指標で最も早く公表され、景気の先行指標として注目度が高い。回答企業からは「多くの顧客が在庫を減らすために注文を控えている」(食品関連)、「10~12月期以降の受注に減速の兆しが見られる」(プラスチック関連)などの声が上がった。
米銀JPモルガン・チェースのダニエル・シルバー氏は「全体として最近製造業が冷え込んでいるのは確かなようだ」との見方を示した。
同日にIHSマークイットが発表した7月の米国の製造業購買担当者景気指数(PMI)の確定値は52.2となり、6月から0.5ポイント下げた。速報値(52.3)とはほぼ変わらなかった。ISMの指数と同様に、生産や受注で活動が低下した。
出典:日本経済新聞