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強含む米経済・ドル高の追い風に乗る

はじめに

ドル高の局面が続いています。外国為替市場ではアメリカ経済の急な回復からドルの買いが進んでいます。政府の債務が膨らんだことを背景に、新型コロナウイルス渦で低下が目立ったドルの理論値は2021年に入って上昇に転じています。理論値に並行していく形でドル高が長期化していくと、コロナの感染が広がっている新興国はさらなる苦境に追い込まれそうです。

GDPが6.5%も増

アメリカの21年4月から6月期の実質の国内総生産(GDP)は前期比の年率で6.5%増と高い伸びを記録しています。規模でみてもコロナ前の水準にまで回復をしています。個人消費や民間の設備投資が大きく増加しています。感染の再拡大のリスクはあるも経済指標は総じて強含みとなっています。

実勢値は年初の1ドル103円台から直近では109円台にまでドル高が進んでいます。日本経済新聞社と日本経済研究センターが各国の政府の債務や経常収支の状況などから算出する「日経均衡為替レート」でもドルは反転しています。政府債務が膨らんだ時や経常赤字の大きい国の理論値は相対的に弱くなります。

ドルの理論値はコロナの感染拡大前に19年10月から12月期には1ドル=113円をつけていました。アメリカ政府がコロナによって落ち込んでしまった景気を刺激することで巨額の財政融資を行いました。そこでドル円は1ドル99円にまでドル安が進んでしまいました。21年1月から3月期の理論値では101円弱で実勢値と同様に上昇に転じています。対ユーロ、インドネシア、マレーシアなどの欧州や東南アジアなどを比較してもドルの勢いは強くなっています。

新興国通貨は対ドルで減少

足元で理論値がドル高に転じた要因で大きくなっているのは、アメリカのGDPが日本などよりも急拡大しているということです。アメリカのGDPは21年1月から3月期の年率換算で前期比の6.3%増、一方日本は3.9%の大きな減少となっています。世界各国で財政出動が続くも、対GDPで見ていくとアメリカは財政悪化のスピードが一段落しています。

交易条件の悪化が他地域よりも相対的に少なかったことも理論値を押し上げています。世界経済の回復に伴って、交易条件を左右する原油価格は上昇が続いています。アメリカはシェールオイルの増産などで原油の輸入依存度が高く、原油高に耐性がある経済活動に変わりつつあります。アメリカエネルギー情報局(EIA)によると、2020年の原油と石油製品の輸出量は輸入量が上回っています。

ドル高が継続するのか

ドル高が今後しばらく継続していくのかは今後の世界の経済動向を左右していきます。実勢値は理論値と比較すると割高感があって、アメリカ経済の回復力が弱まればドル安に振れていく可能性があります。一方で債務が積みあがっていく日本の経済回復がさらに遅れるようだと対円でもドル高はいっそう進みそうな可能性があります。

米連邦準備理事会がどう動くか

アメリカ連邦理事会(FRB)の動向もカギを握ります。6月の連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げ時期の見通しを24年以降から23年以降に前倒ししました。大和証券の岩下氏は「アメリカの長期金利への上昇圧力は強い」と予想、ドル高の圧力はさらに高まるとしています。

新興国の通貨安は深刻

とにかく新興国の通貨安が懸念材料です。6月のFOMC以降はブラジルや南アフリカなどの通貨は対ドルで大幅に下落しました。低金利のドルを売って高金利通貨を狙うドルキャリー取引の巻き戻しが起きています。三菱UFJ銀行の内田氏は「アメリカの利上げの影響を受けやすい新興国の通貨を手放していく投資家が増えた」と指摘しています。

世界経済の21年の実質成長率見通しはブラジルが4.5%、ロシアが3.2%と世界平均の5.6%に届いていません。それでも資金の流出やインフレの加速を防ぐための利上げを迫られています。ブラジルとロシアの中銀はそれぞれ3会合、4会合連続での利上げを決めています。

コロナの再拡大も大きな懸念

コロナの感染の再拡大も大きな懸念材料となっています。タイは7月に入って1日当たりの感染者数が最多を更新し続けています。一部では夜間の外出禁止令も出ています。インドネシアも行動制限を行っています。ドル高と感染の再拡大という「ダブルパンチ」の状態にあります。感染の収束に手間取ってドル高が長引くと、ドル建ての債務を抱えている一部の新興国の負担が重くなります。そこから金融市場のリスクも高くなります。このドルが今後どのように動いていくかは大きな関心事になります。

参考資料・出典
日本経済新聞:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB218XT0R20C21A7000000/

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