6月のユーロ圏PMIが15年ぶり高水準に
はじめに
欧州経済の回復の勢いが増しています。イギリスのIHSマークイットが23日に公表したユーロ圏の6月の購買担当者景気指数(PMI・総合)は速報値で59.2と金融危機前の2006年6月以来の15年ぶりの高水準となっています。ワクチンの接種が進んで製造業からサービス業までの幅広い範囲で需要が進んで急回復している方向で進んでいます。
米中への輸出が好調な製造業が堅調
新型コロナウイルスが猛威をふるっていた時期には、米中への輸出が好調な製造業が堅調な一方でサービス業は低迷していました。23日発表のPMIは製造業が前月と同じで63.1で高い水準を維持したほかに、サービス業も58と前月より2.8ポイントに上昇しています。経済の二極化が解消に向かい、景気回復の力強さが増してきました。
過去15年なかった速度で急拡大
IHSマークイットのクリス・ウィリアムソン氏は「ユーロ圏の経済が過去15年なかった速度で急拡大しています。2四半期連続でマイナス成長だった域内総生産(GDP)が4月から6月に「めざましい拡大」となって、7月から9月に「さらに強い成長」になるという見通しを立てています。
ユーロ圏の物価上昇率
ユーロ圏の物価上昇率は欧州中央銀行が目標とする2%に到達。ただエネルギーの価格上昇の影響が大きく、エネルギーや食料を除いた上昇率は1%にとどまっています。ECBは「物価上昇率は一時的」として粘り強く緩和を続ける姿勢を強調しています。
物価全体をさらに押し上げる可能性
今後も景気回復が進めば、物価全体への影響が大きいサービス価格が高まって、物価全体をさらに押し上げる可能性があります。ECBは景気・物価の持続性を慎重に見極めつつ、危機対応の異例の金融緩和からの出口について秋以降に議論を進める見込みです。
参考資料・出典
日本経済新聞:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR23CNK0T20C21A6000000/