新興国の通貨切り下げの波、始まったばかりか-救済求める高債務国で 2023.02.14 Tweet Share (ブルームバーグ): 国際通貨基金(IMF)による新たな救済措置が始まっているが、世界の高債務国の一部は救済を受けるために自国通貨を犠牲にせざるを得ないだろう。 今年に入り既にエジプトとパキスタン、レバノンの3カ国がIMFの支援を得るために通貨を切り下げた。これはまだ始まりに過ぎないかもしれない。少なくとも20数カ国がIMFの救済措置を求めて列をなしており、為替トレーダーは新興国で新たな通貨切り下げの波が押し寄せる可能性に備えている。 ウェルズ・ファーゴのストラテジスト、ブレンダン・マッケナ氏(ニューヨーク在勤)は「脆弱(ぜいじゃく)なフロンティア市場の一部で新たな通貨切り下げが起こる公算が極めて大きい。外部バッファーが枯渇すれば、ペッグ制を守る力は弱くなる。これらの市場に投資している投資家は、通貨切り下げリスクに対するヘッジを考えるべきだ」と述べた。 金利上昇と景気減速で、一部の新興国は持続不可能な債務負担とドル不足に陥っている。通貨ペッグ(連動)制と管理相場制はストレス下にあり、ナイジェリアやレバノンなどの国々はゆがんだ形で複数の為替レートが採用されるようになった。 通貨安は資本を呼び込み、貿易面の競争力を高める一方、インフレ加速や債務返済の負担増につながり得る。テリマーのストラテジスト、ハスナイン・マリク氏(ドバイ在勤)は、投資家は危機にひんしている可能性がある国の通貨安に注意する必要があることを意味すると指摘。 同氏は具体的にアルゼンチンとエジプト、ガーナ、レバノン、ナイジェリア、パキスタン、スリランカ、ジンバブエを挙げ、「通貨切り下げで、より小規模な新興国・周縁国の株式市場の多くは手が出せなくなる」との見方を示した。 関連記事 原題:The Devaluation Run in Emerging Markets Is Just Getting Started(抜粋) –取材協力:Arun Devnath、Sydney Maki、Faseeh Mangi、Patrick Gillespie. (c)2023 Bloomberg L.P. 出典:Yahoo!JAPAN