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【企業の与信管理実態調査】コロナ禍で3割が取引先の「休廃業」や「倒産」を経験 不測の事態に備えて与信管理は厳格化の傾向

株式会社ラクーンフィナンシャルは、法人取引を行う企業の与信管理担当者を対象に、コロナ禍で変化した取引状況や与信管理の実態調査を実施しましたので、その概要をお伝えいたします。このたび、株式会社ラクーンフィナンシャルは企業の与信管理担当者(経営者・経理・営業等、貸し倒れを防ぐために取引内容や相手の信用力を分析し、信用リスクを抑える業務を行う方)を対象にアンケート調査を行いました。以下、その調査結果の概要です。

調査結果

(1)約7割(68%)が現在の経営状況に不安を抱いています。

(2)不安の要因は「売上不振」が56%と最多、次いで「原油・原材料価格の高騰」、「円安の影響」と続いています。

(3)コロナ禍で「取引金額の減少」を経験した企業は5割近く(48%)。また約3割は「取引先の休廃業や倒産を経験しています。

(4)約半数(53%)がコロナ禍で新規取引や既存取引の継続に「迷ったことがある」と回答。中小企業では約4割(37%)、大企業では約6割(63%)と危機意識に差がみられす。

(5) 迷った理由は「支払い遅延」への不安が最多。「取得できる企業情報が不十分」、「信頼関係が構築できていない」など対面が困難なコロナ禍ならではの要因も4割を超えます。

(6)与信管理方法は、約半数(46%)が「実際に取引先に会う」と回答。「決算書」や「ネット情報」を確認するとの回答も46%と同ポイントになりました。

(7) 約4割(39%)がコロナ禍で取引先に対する与信管理の方法を変更。中小企業では約2割(18%)、大企業では約5割(46%)とリスク対策への対応に差がみられます。

(8) 方法を「変えた」企業のうち、6割(60%)がコロナ禍で取引先に対する与信管理の基準を厳しくしたと回答しました。

与信管理の方法・基準の変化についての自由記述コメント(一部抜粋)

  • 与信で判断する金額を下げた
  • 与信の正確性を高めるために様々なデータを収集した
  • 取引先の状態をより詳しく把握するようにした
  • より慎重に対応するようになった
  • 取引を縮小した
  • 金額が大きい場合は、基本半分は前払いにするようになった
  • 調査会社を利用する頻度が増えた
  • 安定していて業績のいい企業との取引を増やした
  • 掛売りではなく、入金確認後の取引に限定するようになった
  • 手形決済サイトを短縮した
  • 社内でチェックする段階を増やした
  • 取引先の従業員に大きな変化(対応、表情、いつもと違う愚痴など)がないかいつもチェックしている

調査概要

調査方法:インターネット調査
調査期間:2022年9月7日~2022年9月8日
調査対象:全国の法人取引を行う企業の与信管理担当者541名
*全体の調査は従業員数問わず実施。企業規模による比較は回答者数の割合の考慮および違いをわかりやすくするため100名以下と301名以上を比較しています。
対象業種:農林水産業・鉱業・建設業・製造業・電気、ガス、熱供給、水道業・情報通信業・運輸、郵便業・卸売、小売業・金融、保険業・不動産業・飲食業・宿泊業・医療、福祉業・教育、学習支援業・その他サービス業・公務・その他

日本経済を取り巻く環境はいろいろな要因により影響を受けています、ロシアによるウクライナ侵攻による石油を中心とした資源価格の高騰、また最近の急激な円安による物価の上昇などは企業の仕入価格の高騰につながり、経営を圧迫しています。また、大分収束に向かいつつあるとは言え、コロナ感染拡大による物流の混乱はまだ続いており、生産活動に影響を与えています。更に米中対立によるグローバルな世界貿易は混乱しており、この問題も企業の仕入、輸出活動に影響を与えています。

いずれにせよ、リーマンショック以降、経済を立ち直させるために大量のマネーを市場に提供してきた世界の多くの国は、上記の理由などにより金利を上げざるを得なくなっており、いわゆるインフレ下の景気後退というスタグフレーションに直面しています。

このような経済環境が、今回の「企業与信管理動向調査」の結果にも表れており、多くの企業は与信管理の問題に悩まされています。今後多くの企業は与信管理の強化が求められます。取り分け、内需を中心にしている運輸業、飲食業などの業種にとっては一層厳しい経営環境が続くと思われます。そのため、今回の回答にあったように、今まで以上に取引先と連絡を密にし、取引先の経営状態を的確に把握していくことが重要になってくると思われます。日常の取引先の取引振りをこまめにチェックするとともに、決算書なども早めに入手し、予備的な与信管理を強化し、取引先の与信状況を的確・迅速に判断していくことが求められると思います。

以上

\取引先の与信情報を判断するには、取引先与信限度額アドバイスをご利用ください/

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