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円安の長期トレンドは続く

3月の日銀金融政策決定会合をきっかけに上昇を再開したドルは、3月27日、34年ぶりの高値となる151.97円まで上昇した。3月27日夜、財務省・金融庁・日銀による3者会合が開催された。

3者会合で介入可能性高まる

神田財務官シーリング(152.00円)の決壊目前という局面で、3者会合(=「財務省・金融庁・日銀」による国際金融資本市場に関わる情報交換会合)の開催が報道された。会合後の神田財務官は、インタビューに答えて、最近の円安の進展はファンダメンタルズに沿ったものとは到底言えず、背景に投機的な動きがあることは明らかだとした上で、「行き過ぎた動きに対してはあらゆる手段を排除せずに適切な対応を取る」とコメントした。

3者会合は昨年の5月にも開催されているが、その時は、介入はなかったので今回も3者会合は警告だけに終わる可能性もある。現実には、海外勢は介入が入った場合を想定し、ドル・円の150円割れから断続的にドルの押し目買い注文を出しているようだ。つまり仮に介入で150円割れとなっても円高は一時的でドルはまたすぐに反発するとみている海外勢が多いということになる。

介入の円の水準と効果は

介入はどの水準で実施されるのか。152円目前で再び介入を実施すれば、あたかも日本の当局として152円は「死守したい水準」との印象を市場に与えかねない。前回介入した2022年を振り返ると、神田財務官は、実施するからには「市場に勝つ介入」を念頭に置いているように見えた。勝つためには投機筋にサプライズを与え、恐怖感を刷り込む必要がある。そうであれば、151円台という前回のドルの高値といったわかりやすい水準ではなく、さらに先の154円~155円辺りまで引き付けてから、突如実施する可能性はあるかもしれない。

では、介入が実施された場合、効くのか効かないのかといえば、一時的に効力を発揮することは間違いない。シカゴの通貨先物市場での投機筋による円の売り持ち高(ポジション)をみると、3月19日締めの集計で11万6000枚と、近い将来の大きな円の買い戻しを想定させるほど円売り・ドル買いポジションに傾いていることが分かる。これは、2022年に実施された3回の介入の内、初回時点(9月22日日)の売りポジション8万枚を大きく上回る。この時は介入によって一日で6円程度円高に振れたが、今回はそれを上回る円の買い戻しがあるかもしれない。

介入効果の持続性は

ただ、効果の持続性については、やはり目先は米国の経済環境が重要になってくるだろう。

では、今の米国はどうか。3月20日のFOMCでは、年内3回の利下げが予想されるものだったが、その後発表された3月のPMI(企業景況感)や消費者信頼感指数などは、いずれも堅調な結果となり、市場では微妙に「本当に6月に利下げできるのか?」といったムードが広がり始めている。6月の利下げに対する市場の織り込みも、確率8割程度だったのが、足元は7割までわずかに低下している。ウォラーFRB理事も3月27日の講演で「(現時点で)政策金利の引き下げを急がない」との認識を示している。

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