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研究員レポート

海外取引のコンプライアンアスについて(2)

コンプライアンス関連の各分野の法規制―経済制裁規制と輸出管理規制

コンプライアンス関連の各分野の法規制については、経済制裁規制、輸出管理規制、贈賄防止、マネー・ローンダリング、競争法、データ保護、サイバーセキュリティ―、サステイナビリティ―等いろいろありますが、まず経済制裁規制と輸出管理規制について、主に米国と日本の法規制を見ていきたいと思います。

1.経済制裁規制

国連安保理制裁

国連安全保障理事会は、特定の国に対する禁輸措置などの包括制裁や、特定の個人・団体に対する資産凍結等の経済制裁を決議し、各国は制裁措置実施を求められます。日本では、そのような要請に基づき、外為法により経済制裁措置を実施します。しかし、米国、ロシア、中国などの拒否権により、合意できるケースは限定されています。

米国OFAC規制

米国は自国の外交政策・国家安全保障上の目標達成のため、国連安保理決議を超えた独自の制裁措置を実施しています。米国の財務省外国資産管理室OFAC(Office of Foreign Assets Control)規制ですが、法規制内容が複雑で、制裁リストも頻繁に変更されるなど、継続的にフォローする必要があります。OFAC規制は制裁リストで指定された個人・団体取引停止や、資産凍結を要求する「選択的制裁」と、特定された国との貿易・資金移動を包括的に禁止する「包括的制裁」があります。

OFAC一次制裁の域外適用

OFAC規制は原則米国人に対して適用されますが、日本企業も、米ドル、米国人、米国原産品のような米国と接点がある場合は、規制の域外適用がなされる可能性がありますので、注意が必要です。例えば、「包括的制裁」では、米国原産品が含まれていた場合には、非米国人であっても、制裁対象国への再輸出は禁止されています。

OFAC二次的制裁

二次的制裁は、制裁対象者・制裁対象国と特定の取引・関係を有する非米国人・企業に対しても、当該制裁対象者・対象国と同様に制裁を科すもので、イラン制裁や北朝鮮制裁などがあります。二次規制の特徴は米国と接点があるかどうかに関わらず適用される点です。

日本における経済制裁規制

外為法に基づく経済制裁措置

日本でも、外為法に基づき、金融制裁措置や貿易制限措置を含む経済措置を実施していますが、米国OFAC規制と比較すると制限内容が限定的なものにとどまっています。

資金移動等を制限する金融制裁措置に関しては財務省が所管しており、法令などの規定が遵守されているかどうかの確認を目的とした金融機関などに対する外国為替検査を実施しています。

貿易を制限する貿易制裁措置に関しては経済産業省が所管しており、特に、北朝鮮との関係では広範な輸出入の制限措置が実施されています。

その他、日本における制限措置としては2014年に成立した「国際テロリスト財産凍結法」で、国内取引においても、国際テロリストに関しては財産の凍結が義務付けられています。

また、金融庁が発表した「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」では金融機関に法規制などの遵守を求めています。

2.輸出管理規制

世界主要国では、武器や軍事転用可能な貨物・技術がテロリストなどに渡らぬよう、国際輸出管理レジームをつくり、協調して輸出管理を行っています。日本も、これらのレジームに参加した上で、外為法に基づき、輸出管理を実施しています。

米国EARの概要

米国の輸出管理規則は  Export Administration Regulations(EAR)に規定されており、商務省が所管しています。

規制対象品目

軍民両用品か否かにかかわらず、全ての米国内に所在する品目や米国原産品が対象となります。

リスト規制

軍民両用品についてはEAR規制品目リスト(CCL:Commerce Control List)で分類されています。規制品目、規制理由、規制国などは細かく分類されています。

米国EARは一定の基準を満たした場合は、非米国企業にも規制の域外適用がなされますので、日本企業も注意が必要です。また昨今の米中貿易摩擦により、非米国企業が特定の米国産の技術又はソフトウエアの直接製品などを輸出・再輸出する場合にはEARが域外適用されるようになり、厳格化されています。

日本の外為法に基づく安全保障貿易管理の概要

日本では経済産大臣が許可制を課しており、貨物の輸出の許可制に関しては、外為法48条1項に規定され、輸出貿易管理令がその内容を具体化しています。技術の提供の許可制に関しては、外為法25条1項に規定され、外国為替令が規制の内容を具体化しています。

リスト規制

軍事転用性の可能性が特に高い貨物・技術としてリスト指定されている品目の油輸出・提供は、経済産業大臣の許可を受ける必要があります。許可は個別が原則ですが、一定の仕向地・品目の組み合わせの輸出については包括許可も可能です。

リスト規制品以外であっても、大量破壊兵器や通常兵器の開発などに用いられる恐れのある場合には、経済産業大臣の許可が必要となりますので、これも注意が必要です。

以上

参考文献:高橋大祐著「グローバルコンプライアンアスの実務」一般社団法人金融財政事情研究会発行