建設業の業界動向調査(2021年)
建設業の倒産は過去最少を記録も、人手不足やコスト上昇が顕著に
~ 破綻リスク懸念先は推計2万6000社 ~
はじめに
新型コロナウイルス2年目となった2021年。建設業界においては、2021年度から始まった「防災・減災、国土強靭化のための 5か年加速化対策」など官公庁工事のほか、民間工事においても、2020 年度に落ち込んだ反動から、多くの主要上場建設会社で受注が増加した。2021年の建設業者の倒産件数は政府による各種支援策などの効果もあり、過去最少を記録するなど倒産件数全体の押し下げに大きく影響を与えている。しかしその一方で、人手不足の影響による労務費や・外注費の増加、建材費の上昇などコストアップが顕著となっており、採算悪化を心配する状況が続いている。
帝国データバンクは、2021年に発生した建設業者の倒産の集計・分析のほか、業界動向なども分析した。
■倒産集計対象は、負債1000万円以上の法的整理
調査結果
- 2021年の建設業者の倒産は1066件となり、過去最少の水準となった
- 負債規模別では「5000万円未満」が630件と全体の59.1%を占めた
- 地域・都道府県別では、「関東」が384件で最多、36都道府県で前年比減少となった
- 業種細分類では、「木造建築工事業」が150件で最多。「内装工事業」が121件と続いた
- 人手不足倒産は減少するも人手不足感は上昇、後継者難倒産は3年連続で増加
- 建設業の倒産企業の特徴をみると、売上高約26%減、有利子負債月商倍率は約6倍
- 2021年度の破綻リスク先は3年前から倍増し、推計で約2万6000社にのぼる
- 仕入単価DIの上昇幅に比べて販売単価DIの上昇幅は小さく、コスト上昇が顕著に
出典:帝国データバンク