世界の半導体販売、初の5000億ドル突破 21年26%増
【シリコンバレー=佐藤浩実】米国半導体工業会(SIA)は15日までに、2021年の世界の半導体売上高が前年比26.2%増の5559億ドル(約64兆2800億円)だったと発表した。5000億ドルを上回るのは初めて。自動車や家電など幅広い製品で半導体不足が課題になるなか、各社が生産能力の増強を進めたことで、出荷数も過去最高の1兆1500億個となった。
演算処理に使うロジック半導体の販売が30.8%増の1548億ドルとなり、メモリーは30.9%増の1538億ドルだった。クラウドコンピューティング企業がデータセンターへの投資を拡大したほか、電子機器への旺盛な需要が販売を押し上げた。自動車や家電に使うアナログ半導体の売上高は740億ドルで、20年を33.1%上回った。
SIAのジョン・ニューファー最高経営責任者(CEO)は「高水準の需要に対応するため、半導体企業は前例のない水準で生産を増強した」と説明した。需要が供給を上回る状況が続くなかで値上げの動きも出ており、売上高の増加に寄与したとみられる。
地域別では、最大市場の中国が前年比27.1%増の1925億ドルだった。米州は27.4%増の1215億ドルで、欧州の伸び率も27%を超えた。日本は19.8%増の437億ドルで、ほかの地域と比べて緩やかな伸びにとどまった。
SIAによれば、世界の半導体売上高は17年に初めて4000億ドルを超えた。そこから4年で5000億ドルを突破したことになる。22年については、6000億ドルを上回るとの見通しを示している。
もっとも、今なお続く半導体不足がどこまで解消するかは不透明な部分もある。米国ではインテルや台湾積体電路製造(TSMC)といった大手が新工場建設に乗り出しているが、本格的に稼働するのは24年以降だ。旧式の設備を使う半導体工場では、新規投資に消極的な向きもある。
出典:日本経済新聞