韓国企業の21年営業益74%増 半導体・素材けん引
【ソウル=細川幸太郎】韓国取引所がまとめた韓国上場企業の2021年12月期の連結営業利益の合計は前の期に比べて74%増えた。主要業種の電機と化学、鉄鋼がけん引した。新型コロナウイルス感染症の影響で世界経済が収縮した20年の反動も大きく、輸出産業を中心に韓国企業の業績回復が進んだ。
韓国取引所に上場する12月期決算の企業(金融を除く)595社の業績をまとめた。売上高は前年同期比20%増の2299兆ウォン(約230兆円)。営業利益は74%増の183兆ウォンだった。売上高営業利益率は8.0%と、前年同期比で2.5ポイント上昇した。
主要17業種のうち、サムスン電子とLG電子、SKハイニックスを含む「電気電子」の増益額が最も大きかった。半導体メモリーの市況改善のほか、テレビや家電製品の販売が好調で前の期比56%の増益だった。
次いで、LG化学やロッテケミカル、SKイノベーションなどの「化学」の営業利益は4.5倍となった。原油価格の上昇によって石油化学製品の販売価格を引き上げたほか、急拡大する車載電池事業の収益回復も大きかった。
素材価格の上昇の追い風を受けたポスコや現代製鉄を含む「鉄鋼」は3.7倍、高収益が続くネイバーやカカオ、ゲーム企業を含む「サービス」が82%増と増益額の上位業種に並んだ。
全業種が増収となり、「電気ガス」「建設」を除く15業種が増益だった。電気ガスは資源価格の高騰、建設は建材価格上昇によって業績が悪化した。特に韓国電力は政府の脱原発政策と電気料金抑制で過去最大の営業赤字を計上した。
輸出主導型の韓国経済にとって主要な輸出品目である半導体や化学、鉄鋼分野の企業群が好調なことから、マクロ経済指標も良好だ。ただ、新型コロナ禍の影響が色濃く残る外食産業やサービス業は業績不振が続いており、財閥系大企業と中堅・中小企業の格差がさらに開く結果となった。
出典:日本経済新聞