膨らむ石油マネー、波乱の予兆 「中東の逆襲」まとめ読み
サウジアラビアなど中東産油国が11月から大規模減産に踏み切り、波紋を広げています。この動きに米バイデン政権は反発するなど、良好だったサウジ・米国の関係が揺らいでいます。高い原油価格を背景に中東の政府系ファンド3つだけで300兆円弱の運用資産は、一段と膨らむ見通しです。その投資先は過去とは変わりそうです。連載企画「中東の逆襲」では、大幅減産や石油マネーが市場にどんな波乱を招くのか、探りました。
米国の原油先物価格は1バレル80ドル台半ばで底堅く推移しています。石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどでつくる「OPECプラス」の大幅な減産が需給を引き締めているためです。米国の意向に反して決行した減産は、ロシアや中国も重視するサウジの外交姿勢の変化を象徴しています。国際関係や世界のインフレなど広範囲に影響を及ぼしそうです。
OPECの石油輸出収入は今年、125兆円を超える見込みです。一段と膨らむ石油マネーは、日本の熊本県の老舗しょうゆメーカーにも押し寄せています。米国債を軸とした保守的な運用スタイルが変わり、アジアなどに流れ込もうとしています。石油の大幅減産を機に始まった「中東の逆襲」は金融市場に波乱をもたらす可能性があります。
出典:日本経済新聞