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米緩和縮小「半年で完了も」・「利上げに時間」

はじめに

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は8月27日の講演で、米国債などを買い入れる量的緩和の縮小(テーパリング)について年内の開始に前向きな姿勢を示しました。同時に「将来の利上げ時期の直接的なシグナルにならない」なども指摘したことで27日の米金融市場では株高・金利低下が進むなどの安心感が一度は広がりました。アメリカの緩和局面の転換は今後どのような影響を与えるか?国内外の市場参加者に今後の見通しと注意点を聞きました。

9月に緩和縮小を示唆・11月に決定か?・鈴木敏之氏

今回のパウエル議長の講演での最も重要なポイントは7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)に関しての言及と思われます。「年内のテーパリング開始が適当」との考えを持っていたことをわざわざ表明しました。次回の9月のFOMCでテーパリングの決定を示唆しました。11月に決めた上で12月に買い入れの縮小を始めるとしています。今後の利上げの姿勢を見極めていく上で9月のFOMCで公表される2024年までの政策金利の見通しにも注目していきたいと考えています。

直近のインフレは次第に鈍化していくものと思われます。新型コロナウイルス渦で落ち込んでしまった需要が急激に立ち上がって、供給が追いつかない状況は解消に向かっています。ただインフレが一時的ではない不安も残っています。今後の年末商戦で品不足が強まる場合には物価が上昇していくかどうかを注視しているものと思われます。

「資産購入額、月150億ドルずつ減少も」・シティグループエコノミスト アンドリュー・ホレンホースト氏

年内のテーパリングが可能という見方を支持しましたが、9月のFOMCを含めて、テーパリングへの道筋に関しての新しい指針をほとんど示されませんでした。具体的に道筋を示すように様々な選択肢を残しておくことに重点に置いたものと思われます。

8月分の雇用統計では85万人の雇用増を予測しています。9月のFOMCでのテーパリングの実施が道筋に関する新しい方針はほとんど示されませんでした。具体的な道筋を示すよりも、様々な選択肢を残しておくことに重点を置いたものとみられます。

「テーパリング、7カ月かけて完了か」・JPモルガン証券チーフエコノミスト 鵜飼博史氏

冷静なコミュニケーションでハト派的な印象を受けています。パウエルFRB議長がテーパリングの年内開始に言及、7月のFOMC議事要旨の内容から大きな変化はなくサプライズは小さかったと考えています。テーパリングを表明する時期は11月か12月とみています。インフレ期待の動向の見極めが重要になるだろうと見ています。FRBは米国債を月800億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)を月400億ドル購入しているが、同時に購入を縮小していき、7カ月ほどかけてテーパリングを完了するとみています。

「拙速な引き締めは修正困難、労働市場の回復鈍化も」 ティー・ロウ・プライスチーフ米国エコノミスト アラン・レベンソン氏

パウエル議長短期的なインフレの加速に対応して政策を引き締めると労働市場の回復を不必要に遅らせることを強調しています。インフレへの対応策は十分に持っています。ただ焦ってそこを引き締めると修正は難しくなりそう。9月のFOMCで近くテーパリングを始めることを知らせて、11月に具体的な計画を発表するとみています。

労働市場の回復は続くが、ペースは鈍化しそう。失業率は21年末に4.3%、22年6月に3.6%になると予想。ワクチン接種が進むにつれ、我々はコロナと共存する生活を探っていくと思われます。接客業も徐々に再開していくのではないかと思われます。

早急な利上げ遠のく、高成長銘柄に追い風 フィデリティ投信副社長・丸山隆志氏

雇用の回復など金融緩和縮小の素地が整ってきた一方で急激な物価上昇は一時的であり利上げはまだ先というメッセージが伝わってきました。金融市場にとっては政策の予見可能性が高いことが最重要。FRBと市場の対話の積み重ねが資産価格の安定につながってい久野ではないかと思われます。

パウエル氏の今回の講演で早急な利上げ観測が遠のいたことは、キーエンスなど金利上昇に弱い高成長銘柄には追い風になりそう。ただ景気動向を丁寧に確認しながらも、金融政策の見直しを進める姿勢も再確認できそうです。グローバルな景気に業績が左右されるような日本の製造業の先行き不安軽減にもつながります。

日本株が全体的に高くなっています。一段高は国内の新型コロナウイルス対策がカギになりそうです。米国のスムーズな緩和縮小とコロナ対策の進展を前提に日経平均株価は年末に3万円程度まで上昇そう。ワクチン接種後の「ブレークスルー感染」や高水準のインフレ持続などリスクシナリオが意識されると株価の振れ幅が大きくなりそうです。

米金融政策に転機、円相場は113円まで下落も UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメント日本地域最高投資責任者 青木大樹氏

米金融政策は転換点を迎えます。12月にテーパリングを決めると想定も、11月に前倒しされる可能性が高まっています。ただパウエル議長はテーパリングと利上げは別だと説明しています。雇用拡大の継続がカギになるなかで肝心の物価2%の安定が続くにはなお時間が必要と思われます。市場は23年に3回の利上げを織り込んでいますが、過度な反応が基本と言えます。

年末の円相場は1ドル=113円と円安・ドル高方向で着地するとみています。FRBのテーパリングが近づくなかでアメリカの実質金利が上昇すればドル高が進みやすくなります。新型コロナウイルスのインド型(デルタ型)の感染拡大には注意が必要だが、世界経済の回復を背景に低金利通貨の円は対照的に売られやすくなります。22年まで見渡せば116円までの下落もあると見ています。

テーパリング、半年ほどで完了も 利上げには慎重姿勢崩さず ブラウン・ブラザーズ・ハリマン為替戦略グローバルヘッド ウィン・シン氏

テーパリングに向けて、タカ派的な発言をするFRB幹部が増えています。8月分の雇用統計が好調ならば、9月のFOMCでテーパリングの実施が決まるとみています。米国経済がFRBの見通し通りに進んでいくことで資産購入を11月以降に実際に減らします。半年ほどの期間でテーパリングを完了させるとみています。

パウエル議長はテーパリングの開始は直接的な利上げのシグナルにならないと指摘して、政策修正の時期を誤れば有害であるとも付け加えました。利上げに慎重な姿勢を崩していません。

「米長期金利、1.1~1.5%の推移見込む・政策金利見通しに注目」 野村証券シニア金利ストラテジスト 小清水直和氏

パウエル議長はテーパリングの年内開始が適当だと表明、米長期金利は低下(債券価格は上昇)しました。市場はよりタカ派的なメッセージを予想していたため、米国債を買う動きが出たとみています。市場の反応が限定的だったことから、FRBのコミュニケーションは成功しています。

年内の米長期金利は1.1~1.5%での推移を見込みます。9月のFOMCでは、新たに24年分が加わった政策金利見通しが出てきます。テーパリングについて市場は十分に織り込んでいるものと思われます。利上げについてはまだ進んでいないだろうと思われます。24年に2回の利上げが示唆されると予想しており、米長期金利は上昇していくと思われます。

参考資料・出典
日本経済新聞:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB273MJ0X20C21A8000000

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