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欧州の金利がさらなる低下を観測、中銀の新指針で緩和が長期化か

はじめに

欧州中央銀行(ECB)は2021年7月22日に開く理事会で、金融政策の先行き指針(フォワードガイダンス)を変更していく見通しとなっています。8日公表の戦略の検証で物価目標を修正したことを受けた措置で、金融緩和をより粘り強く続けていく姿勢を示すと見られています。緩和の長期化は金利の低下を促して、株式などのリスクの資産に追い風になり得ます。ただ想定以上の物価上昇などが起これば金利が再上昇する可能性が懸念されています。

ECBは物価目標を2%に変更

ECBは戦略検証で物価目標を2%に変更しました。一時的な物価の2%超えを容認していく姿勢を容認していく構えを採っています。2%が物価の天井ではなく中期的に物価変動の中心だと位置づけすることで、低インフレの克服に向けて「より柔軟に」金融緩和を進めやすくなります。

ラガルド総裁は欧米のメディアとのインタビューで、物価目標の変更に合わせて「金融政策の先行きの指針を再定義する必要がある」と表明済みです。ただ具体的な変更内容については明らかにせず、金融緩和の継続をどれだけ強く約束していくかで22日の理事会の焦点にしています。

ECBは現在の先行きの指針として、物価目標の達成が見通せるまでは政策金利を現在の水準もしくはそれ以下に留めると約束をしています。さらに総額で1兆8500億ユーロ(およそ240兆円)のコロナ危機対応の資産購入の特別枠(PEPP)は少なくても2022年3月までは続けて、月200億ユーロの通常の量的緩和政策(APP)は利上げを始める直前までは継続するとしています。

ECBでは通常の量的な緩和政策の出口を利上げの時期と結び付けないようにする案などが出てきています。利上げが始まっても量的な緩和政策をより長く続けることのできる余地を残して、長期的な金利の上昇を抑える狙いがあるとしています。

長期金利の下落につながる

マーケットでは緩和の長期化が意識されれば、欧州の長期金利の下落につながるとの見方も強くなっています。野村証券の春井氏も金利は低下基調に動くと予想をしています。「仮に金利が上がったとしても、ECBは資産購入のペースを上げるなどして金利上昇を抑えていくだろう」と指摘をしています。為替でもドル高ユーロ安が進んで、20年11月以来の1ユーロ=1.17ドルを一時割る可能性もあると指摘しています。

インベスコ・アセット・マネジメント社の木下氏はPEPPが22年3月に終了することを踏まえて、「フォワードガイダンスでAPPによる資産買い入れ増額を示唆する可能性がある」と分析しています。「ドイツやフランスといった主要国に加えて、イタリアやスペインなども南欧諸国の金利も低下して、株式をはじめとしたリスクの資産には追い風と見ました。アメリカなどのグローバルでの金融緩和などの引き締め懸念も和らぐ」とみています。

そう簡単なことではない

ただ今後の金融緩和の方針にはECBも一枚岩ではありません。財政赤字が大きく金利上昇への懸念が強い南ヨーロッパ諸国は緩和継続に前向きも、財政状況が比較的良いドイツや北欧諸国などは危機が去れば金融政策も平常に戻すべきという意見も強くなっています。7月22日の理事会でどこまで足並みがそろうかは不透明な部分があります。

理事会後の声明文とラガルド総裁の記者会見で指針の変更が中途半端とみなされれば、市場の参加者の失望を誘いかねません。インフレが中銀の想定以上に加速すると金利が上昇する展開もあり得ます。

デルタ株の脅威も

新型コロナウイルスのインドデルタ株の拡大で欧州でも景気や物価の先行きに暗い影も出てきています。足元のドイツの10年の債券利回りはマイナス0.4%台と2月以来の低水準、フランスも先週末からおよそ3か月ぶりのマイナス圏に沈んでいます。ドイツDAX指数などの株価の伸びは力強さを欠きます。金利の低下による株価の押し上げの効果は足元で薄れていることも事実といえます。

SMBC日興証券の田坂氏は「いずれはAPPのフォワードガイダンスも修正がされてくると思う。デルタ株の趨勢なども見極めていく必要もあって、今回はやや時期が尚早と言える」と分析しています。「理事会を通過して材料が出尽くすと、金利の上昇につながっていく可能性がある」という見方をしています。

参考資料・出典
日本経済新聞:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR20AKE0Q1A720C2000000/

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