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東南アジア、新型コロナで課税強化

はじめに

新型コロナウイルスの対応に伴う財政の悪化を背景に東南アジア諸国は課税を強化していく方向になっています。税務調査のペースが上がって、資料の提出期限も短くなるなど手続きも厳しくなっています。現地に税務の専門の人材が少ない日本企業などが標的になる可能性があります。専門家からは「調査に備えた事前の準備が必要になる」という声も上がっています。

東南アジアでは課税が進むものと思われる

「過去の複数年の取引実績をだしてほしい」2021年のはじめごろからマレーシアやタイに進出する複数の日系企業に、現地の税務当局からの要請が出ています。大手会計事務所のデロイトの東南アジアの各事務所には新型コロナウイルスの影響の出る前に比べて3倍近いペースで企業からの相談が出ています。

取引価格に注目

デロイトシンガポール事務所では日本企業向けの移転価格サービスの東南アジア統括責任者の五十嵐氏は「新型コロナウイルスでのによる財政悪化を受けて、各国は東南アジア子会社と日本本社などとの取引価格に注目した移転価格税制の調査を積極的に行ってくるだろう」と話しています。

移転価格税制とは親会社と海外の子会社との取引価格(移転価格)をチェックしていく制度です。税務当局が「本来は現地国で計上するはずの利益を本国に移した」などと認定すると追加の税負担が発生します。2020年以降はベトナムとマレーシアが相次いで税務調査などの手続きを厳格化しています。企業が当局に提出する移転価格の関連資料の提出期限を短縮するなども行っています。

東南アジアの課税強化の背景には、税財源の法人税の比重の問題があります。経済協力開発機構(OECD)によると、2018年度の税財源に占める法人税の割合はOECD平均が1割弱となっています。一方マレーシアは5割弱、インドネシアでも3割強にまで跳ね上がります。「コロナでの財政出動を外資系企業への課税で賄おうとしているという魂胆がありあり」という指摘もあります。

また「印紙税の調査が厳しくなりそう」という話がタイの日系企業の間でも出てきています。タイでは2019年に紙以外での電子データの契約書などへの印紙税の納付を義務化しています。バンコクの日本人商工会議所の石井氏は「当局もコロナでの税収減で、移転価格などの様々な分野で積極的に動いている」と話しています。印紙税は新たな警戒の対象になります。

カギは事前対応

もともと日本企業の海外拠点には、税務の備えが手薄という指摘がありました。五十嵐氏は「東南アジアの調査期間はとても短く、事後対応では限界がある」とのことです。

特に移転価格の税制では「取引価格が適正か」という解釈次第で多くの税負担が発生する可能性があるとのことです。同氏は「税務当局を納得させられるだけの資料や想定の問答などを準備しておくことが重要。東南アジアの税務に精通した人材が急務」と話しています。また一部の日系企業でも、社内の調査ガイドラインなどの策定などの税務調査への備えを充実化し始めています。

インドネシアに進出する複数の日系企業は最近の移転価格の税務調査で「本社へのマネジメントの支払いの対価性がない」などの指摘を受けています。中には事前に準備していた取引の計算根拠となる資料などをもとにして反論、会社側の言い分の多くが認められた例もあるとのことです。

EY税理士法人の角田氏は「海外当局からの移転価格課税が予想される場合には、現地でしっかり対応すると同時に、日本の国税当局と海外当局との間で行う相互協議なども活用して正当性を主張していくべき」と話しています。

費用分担も焦点に

東南アジアに進出している日系企業でも、コロナ渦で急激に業績の悪化している企業も多くあります。様々な経費も発生しています。移転価格税制についても本社と海外の子会社の間の製品やサービスの取引を利用して海外に利益(所得)を移転させるための仕組みとなっています。各国の国税当局は取引価格(移転価格)を適正かどうかを見極めていく必要があります。

たとえば日本の本社が第三者に100万円で販売している材料を海外子会社には70万円で販売していた場合には30万円の利益(所得)を海外に流出させたとみなされる場合もあります。日本の国税当局は本社に対してこの30万円の利益分も含めて法人税を追加で課税するということです。

また関連会社の費用配分も当局は注目しています。経済協力開発機構(OECD)は2020年12月の新型コロナウイルス渦においての移転価格に関するガイダンスを公表しました。「新型コロナで生じる例外的な費用は関連者間(企業間)でどう配分されるべきか?」という企業側からの相談に一定の指針を示したということです。

ただ「東南アジアという国の特性上、お構いなしに課税をしてくる国もあるだろう」という見方もあります。さらに東南アジアの税務当局は、各社の業績が堅調だったコロナ以前の事業期を主な調査対象としていますので、ガイドラインが防波堤にはならないかもという恐れもあります。

参考資料・出典
日本経済新聞:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC27BA90X20C21A4000000/

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