中国不動産企業の格下げ、不動産警戒はさらに強まるか
韓国で建設不動産苦境が表面化している。建設業界16位のテヨン(泰栄)建設が昨年末にワークアウト(再建手続き)を申請、年明け株価(一時18%安)、社債(額面の62%取引)が暴落している。最大債権者は韓国産業銀行(KDB)だが、金融信用不安に発展するか要注意。もともと韓国の経済・金融構造は脆弱。金利上昇の余波、中国経済不振の影響を受けやすいと見られている。景気動向論議で隠れた要素と考えられる。
格付け会社フィッチが中国の不良債権管理会社4社を格下げした。一貫性を欠いた政府支援で財務パフォーマンス、資本構造の悪化懸念を理由に挙げた。不良資産処理能力の低下が投影されていると見られる。ブルームバーグによると。中国地方政府のLGFV(資金調達事業体)は今年93兆円規模の債券償還期限を迎えると言う。昨年比13%増。LGFVは地方政府に代わって、道路。港湾などのインフラ資金を借り入れる機関。景気対策を打つどころか、LGFV救済に追われる可能性が高い。中国人民銀行は昨年末、複数の政策銀行に低コストの500億ドル(7.1兆円)規模の資金注入を行ったが、懸念抑制には至っていない。
米GS、モル・スタ、UBSなど10の金融機関が「中国の住宅建設不況、24年も好転せず」。中国の不動産投資は22年、23年とも8%前後のペースで減少している。見方は5~10%程度で意見が割れているが、政府が有力な手立てを打てるとは見ていない。少なくともGDPを1%ポイント程度引き下げると見られている。